角膜・ドライアイ 術者
医師
渡部 環
角膜・ドライアイ予約診療の主な対象疾患
- 角膜混濁
- 円錐角膜
- 翼状片
- 結膜弛緩症
- ドライアイ
- アレルギー性結膜炎
※その他、白内障手術相談も随時受け付けています。
角膜移植術
角膜は人体の中で唯一透明な組織で、物を見るうえではレンズとしての重要な働きをしています。 この角膜が混濁したり、変形してしまう病気では角膜移植が必要になります。 また緑内障などの別の病気から続発性に角膜が障害を受けて角膜移植が必要になることもあります。
以前は全層角膜移植といって角膜全体を取り替える手術しかありませんでしたが、最近はCarl Zeiss社のフェムトセカンドレーザーを使用し角膜の悪い部分だけを取り替える角膜パーツ移植(表層移植、深層移植、内皮移植)を施行しています。
当院ではアメリカアイバンクの協力のもと、角膜移植を施行しております。
下の写真はドナー角膜をレーザーにドッキングさせるところです。 このような形で患者さんの角膜に合うようにレーザーでドナー角膜を準備します。
フェムトセカンドレーザーVisumax(Carl Zeiss社)
角膜内皮移植手術
角膜内皮移植はパーツ移植の中で最も新しい術式です。当院でも最先端のDSAEK(ディーセック)という角膜内皮移植手術を導入しております。
写真は緑内障が原因で角膜が濁ってしまった方(ぼんやりと白くなっている矢印あたりの部分)ですが、内皮移植で角膜に透明性が戻り、視力も回復しました。
円錐角膜治療
円錐角膜は10~20歳台で発症し、徐々に角膜の変形を来たすことで視機能障害を起こす病気です。当院では以下の治療を行っています。
1. 角膜クロスリンキング
円錐角膜の進行を抑制する治療です。 現在欧州では円錐角膜治療のスタンダードとなっている治療です。 角膜にリボフラビンを浸透させ、これに長波長紫外線を照射し角膜のコラーゲン線維を架橋(クロスリンキング)させることで角膜の強度を高め進行を抑制します。
2. ハードコンタクトレンズ処方
円錐角膜が進んで眼鏡で視力が出ない場合はハードコンタクトレンズを合わせる必要があります。 円錐角膜用のコンタクトレンズを合わせることが多いです。
3. 角膜リング手術
ハードコンタクトレンズが使えない方への治療として角膜リング手術があります。
これは角膜内に透明なリングを挿入し角膜の形状を改善させる方法です。
フェムトセカンドレーザーを使用することで、安全確実な手術が可能になっています。
円錐角膜の程度が軽い方であれば、眼鏡やソフトコンタクトレンズで視力矯正が可能になる方もありますが、重症な方はハードコンタクトレンズが使いやすくなる効果が期待できます。
右の写真は角膜リング術後の写真で角膜の下方に1本角膜リングが入っています。
4. 角膜移植術
フェムトセカンドレーザーを用いた深層角膜移植術を行っています。
結膜弛緩症
加齢とともに眼球表面を覆っている結膜組織が緩んできます。(写真矢印部分)
目がごろごろしたりや涙があふれたり、結膜下出血を繰り返したりします。
15分程度の比較的簡単な手術で改善可能です。
翼状片
角膜(黒目)上に結膜組織(白目)が侵入した状態で、主に鼻側に出来ます。
小さいものであれば経過観察できますが、大きくなってくると視界をさまたげ、乱視が生じるので手術の適応となります。
再発が多い病気ですので、再発しないような術式を用いて20分ほどの手術で治療します。
術後の美容面のことも考えて、遊離結膜弁移植という方法を用いています。
宮城県眼科集談会で今までに手術した196例の報告をさせて頂きましたが、再発したのは4例のみでした。
いずれもごく軽度の再発です。
写真はかなり進行した翼状片です。
本当はもう少し前に受診していただくと手術ももっと簡単に行えますが、今回は羊膜移植を組み合わせて手術後は若干混濁が残りましたが、とてもきれいになり患者さんも満足しておられます。
エキシマレーザーによる角膜混濁の治療(PTK)
角膜混濁はレーザー照射、電気分解、角膜移植などで治療可能です。 写真は角膜にカルシウムが沈着する病気でしたが、レーザー治療によって透明性が戻り視力も回復しました。
ドライアイ治療
ドライアイとは
ドライアイといっても様々な原因があります。
水分が足りないタイプ、油の成分が足りないタイプ、長時間のコンピューター作業などの外的要因によって増悪したタイプなどがあります。
治療もその原因によって異なりますが、点眼、涙点プラグ、自己血清点眼、ドライアイ眼鏡などがあり、患者さんの症状、原因によってこれらをうまく組み合わせて治療していきます。
患者様の症状が改善されて眼が潤ってくると、瞳も輝き表情も明るくなってくるようです。
ドライアイでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
ドライアイの症状
- 目がかすむ
- 目がしょぼしょぼする
- 目がゴロゴロする
- 瞬きが多い
- 目が乾燥する
- 目やにが出る
- 目を閉じたくなる
ドライアイのタイプ
- 涙の中の水分が足りないタイプ
- 油の成分が足りないタイプ(マイボーム腺機能不全)
- エアコンや長時間のパソコンモニターの凝視など職場環境が影響するタイプ
ドライアイ診療では、まず問診を行い、その後必要な検査を行います。 涙の分泌量を計測し、涙の油成分を分泌するマイボーム腺の検査、眼表面に傷がないかどうかを調べます。
検査の後は説明を行いどのような治療が有効か患者さんと話しながら決めていきます。
軽症例 | ジクアス、ムコスタ、ヒアルロン酸、人工涙液による点眼治療 |
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中等度~重症 | 涙点プラグ治療、自己血清点眼など |
職場環境が非常に乾燥しているような場合はドライアイ眼鏡も有効です。
この予約診療ではドライアイだけではなく、眼表面の様々な疾患を扱っています。
お悩みの方はお気軽にご相談下さい。
典型的なドライアイの目
ドライアイ診療では、特殊な染色液を使ってドライアイの程度を検査します。
フルオレセイン染色による検査
緑色に見えているのがフルオレセイン染色といって、目の表面の上皮の傷を調べます。 黒目の下の方矢印で示したあたりの細かい点状の緑で染まった場所が傷の出来た部分です。
またこの写真のように、黒目の下がまだら状に黒く一部なっていますが、これは黒目の上の涙膜が破綻している場所で、この涙液層の破綻が目を開けた後何秒で起こるかを調べます。 ドライアイではこの時間が短縮します。
リサミングリーン染色による検査
緑色に染まっているのはリサミングリーン染色で目の表面のムチンという膜や角結膜上皮細胞の障害程度を調べるもので、典型的なドライアイでは写真のように、目の露出部分に染色されます。
アイドラによるドライアイ診断
当院ではアイドラという最先端診断装置を用いて、涙液の油分量、水分量、安定性、マイボーム腺を
詳細に解析し、患者様のドライアイを蒸発亢進型ドライアイ(油の少ないタイプ)と
涙液減少型ドライアイ(水の少ないタイプ)に分類します。
また、高解像度赤外線カメラでマイボーム腺の状態を可視化することでマイボーム腺機能不全(MGD)
の有無を確認することも可能です。
患者様のドライアイのタイプを追求することで、より良い治療が可能となります。
Lumenis M22 IPL によるドライアイ治療
IPL (Intense Pulse Light)は元来フォトフェイシャルといわれる様々な肌トラブルや美肌治療用に
開発された医療用光治療用機器です。
治療過程で多くの方のドライアイが改善された経緯で、眼科領域でも
マイボーム腺機能不全(MGD)・ドライアイ治療として使用されるようになりました。
炎症を抑える効果、マイボーム腺のつまりを溶かす効果、
デモデックス(顔ダニ)を減少させる効果、 肌のコラーゲンを再生する効果があり
マイボーム腺機能不全に有効な治療として注目されています。
本治療は保険適応外(自費診療)となります。
不明点、ご質問等ありましたらお気軽にスタッフ・医師へご相談ください。